6月と7月の2か月間、南魚沼市民病院で勤務させていただきました。普段は大学病院の血液内科で造血幹細胞移植や化学療法などをするスペシャリストとして仕事をしているのですが、久しぶりにジェネラリストとしての内科医として仕事をすることができ、内科という分野の裾野の広さを再認識するよい機会になりました。
こちらでお仕事をすることに決まったのが1か月前のたまたま自身の結婚式の直前の勤務の日で、その後もプライベートで色々とあったこともあり、何の心の準備もしないまま6月1日に六日町に降り立ち、気づけば2か月がたち、さいたま医療センターに戻ることになりました。
病院で勤めはじめて特に印象的だったことが、先生方、スタッフ方が足りないところを補いあうようにして非常に柔軟に仕事をこなしている事でした。自分がやらなくても他にできる人がいる、といった姿勢で専門的な事だけを追求する事は分業化や専門化、結果的に効率化を進めることができる方法の一つです。しかし、この患者のために自分がどんなことができるだろう、また、できないだろう、と一つ一つ問いかけながら医療を施すことが、仁術と呼ばれる東洋的な医療の根源に立ち返り、患者の幸福を追求することに繋がるのではないかと思います。皆様、非常にフットワークが軽く、科や職種の壁が低く連携が取れた素晴らしいチームだと思いました。
スタッフの方といえば、事務の方には特にお世話になり、この場を借りてお礼を申し上げたく思います。
地域としても高齢の方が比較的多く医療が必要な地域ですが、専門的な医療を提供できる医療機関は多くないように思います。基幹病院が最近新しくできたことに伴って南魚沼市民病院も綺麗な新しい建物に生まれ変わって地域の医療機関が再編成されたということはこちらに来た後に知りました。しかし大規模な病院ができたとはいえ、六日町の地域の方々の健康と生活を守っていくのは地域に密着した市民病院の重要な使命であり、プライマリ・ケアから重症者の治療まで気が抜けないと思いました。
今回の2ヶ月は個人的にもちょうど結婚という人生の節目を迎えた時で今後の人生の過ごし方について考える心の余裕ができたことは非常に良かったです。週末に一度だけ妻も魚沼に遊びに来ましたが、元々長野出身だったこともあって大自然に囲まれた魚沼の雰囲気や温泉も気に入ってくれたようです。これまでは魚沼地域といえば冬のスノーボードに来るのが恒例でしたが夏の魚沼地域の魅力も新たに発見することができました。また観光するのに素晴らしい時期に訪れたいと思います。
2ヶ月の間ご一緒にお仕事をしてくださった皆様、ありがとうございました。